Dr.MANAの南仏通信〜フランスのエスプリをご一緒に…〜
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老いぬちゃん効果(2008.08.12)

魔性の誘惑......
その時に私は確信したの。パリの街そのものに.....恋に落ちるのだわ。




さすがに一日中ヒールを履きっぱなしでいると足が棒になってしまいます。ふくらはぎもむくんじゃうし、たまに前後にぶらぶらしたって、おいつきゃしない。疲れはたまります。
ペイヴメントに落ちる並木の影が日々に色濃くなっていく季節のある日、セミナーとその立食レセプションパーティーから逃れて、私は行きつけのとあるバーで一人のどを潤していました。まだ宵の口でお客は私だけ。ヒールを脱いでの素足に、足下のアイアンバーが心地よい冷たさを提供してくれます。この日の製薬会社のセミナーは遺伝子の解明によって、薬も患者さん個々に適合したテーラーメイドになるというもの。「物理から化学へとシフトしたのが20世紀の科学だとすれば、21世紀は生物学の時代となりましょう」とのことでした。

そんな物思いに耽っていたら、
「あらdr.mana、今日はずいぶんお疲れのご様子ね」
とママから話しかけられました。この店のママは30代半ば、ノルマンディ地方出身の色白、豊満な女性で、ご多分にもれず鼻の下のうぶ毛は立派なかたです。ミルクを飲んだら白い痕跡が 唇のうえにまぁるく残りそう。
「そうなのよ、いままで立ちっぱなしだったから足がだるくて」
「マッサージがほしいでしょ?」
「ホント、だれかいないかしら」
「大丈夫よ、今日は丁度早くてまだ誰もいないし。。。まかせて!」

  ピュッと口笛を吹くと、黒のかわいいシェットランドシープドッグがママのところに飛んできました。(パリのお店に犬がいるのはよくある風景です)。ママがなにか私を指さして言うと、犬は私の足下にじゃれついてきました。
「きゃ〜わいい〜」
「いい? このこがあなたの疲れをとってくれるから、気持ち悪がらないで まかせてね」
「エッ?」
と思うまもなく、犬は私の素足の指を舐めはじめたのです!
「えっ!!」
私はただビックリ。ところがこれがものすごく丁寧なんです。一本一本、それこそ舐めるように(実際舐めているのですが)、繊細じっとりと丹念に・・・。舐めつくされてしました。

すると次第に、妖しい気分も湧いてきたりして。(#^_^#) 
いや、たしかに気持ちはよかったですし、知らぬ間に疲れはとれていました。
それにしてもママって、お家でこのこに何を仕込んだのでしょうか?

私もつい感動しました。マッサージも機械が駆動する物理学から、内服剤の科学を経て、ついに生物学の時代になったんですね。

実体験に基づくフランス小咄の一席でした!