Dr.MANAの南仏通信〜フランスのエスプリをご一緒に…〜
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エッセイ バックナンバー

共著のセンスオブワンダー(2023.07.23)


コロナ前のとんちゃんの会(東京にて開催)の様子


もう20年になるのかと思ってしまった、パリの友人山下朝史さん。3ッ星レストランに日本野菜を供給している山下農園のオーナーです。このたびわたくし、山下さんとの共著として『パリで生まれた奇跡の日本野菜??「山下農道」の神髄』を、日本経済新聞出版から発刊いたします。
山下さんは知る人ぞ知る有名人。創業25年の農園ながら、名だたるグランシェフを唸らせた奇跡の蕪や宝石のようなプチトマト、さらに艶めく美しさの野菜たちの数々。日仏米英のメディアに取り上げられ、TEDでの講演経験もある方です。
つくられる野菜の種は日本からのもの、その育成ノウハウが素晴らしい。知り合いのシェフによれば「あそこの野菜は格別。野菜がメインディッシュで、肉や魚が付き合わせの料理となるんだ」とか。レストランへの直売で、値段は市場価格の10倍。それでも手に入れるのは困難となれば、誰だって食べてみたくなりますよね。


これぞ『奇跡の蕪』!


それに友人といった立場から言えば、それほどトンデモナイものをつくられていながら、野菜の栽培についてのおしゃべりは、すごく当たり前すぎて理解が難しい。たとえば農業にも道があって『農道』というと言われる。それはどんなものかと尋ねると「わが子を育てるのと同じですよ」と答えられる。これでは素人には手がかりとなりません。
わたくしは職業柄もあって、美意識あるいは美学的なアプローチを突破口にしようと思いました。美容一般はわたくしの専門領域であり、抗老化医学の仕事にも携わっています。フランス人の生涯現役のライフスタイルは、ことに恋愛や性愛における美学に際立ちます。それなら食材の栽培や料理であっても変わることはないはずです。でも、なぜか今回は敷居が高かったのです。


パリ郊外、シャペ村にある山下農園全景


実はわたくし、恥ずかしながら大の生野菜嫌いです。植物園より動物園や水族館、農園よりは牧場を好むと言いますか…。
植物への好みが薄い私にとって、農道の美学あるいは野菜の美しさに植物の魅力は難しいものでした。でも、取り組んでいくうちにセンスオブワンダーが花開き始め、マイクロバイオームなど最近のヒューマニエンス流行は、地下の植物界と人間の個体とのリンクを容易にしました。
もともと好奇心いっぱいのわたくしは、各地の植物園を訪れて職員や学芸員の方の話を聞き、植物学や農学の書籍を読んで、大学農学部キャンパスにも足を延ばしました。農業創生で有名な長野県川上村の藤原忠彦さんや、群馬県川場村の永井彰一さんにも、ご高説を伺いました。最後は部屋の中が牧野富太郎さんの若かりし日のように、山積する各種植物や農学参考資料で獺祭書屋みたいになりました。(獺祭書屋は牧野さんより正岡子規が早かったようですが…。)


フランス装というお洒落な装丁に♪


そこでできたのが、大の医者嫌いの山下さんと、大の野菜嫌いのわたくしの異色のマリアージュです。山下さんパートは優雅で詩的、流れるような文章。わたくしのパートは科学的というか分析的というか、そんな感じで書いています。ユニークな組み合わせを楽しんでいただければ幸いです。


文中にもご登場なさる安倍昭恵さん


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