Dr.MANAの南仏通信〜フランスのエスプリをご一緒に…〜
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☆いい加減は良い加減♪(2012.07.09)

美の事典

フランスの成績のつけ方は、標準で20進法です。日本の100点満点が20点にあたるので、日本でいうところの10点くらいの誤差はあまり気になりません。かなりアバウトな感覚になりますね。

私は小さい頃から“勉強の虫”が身体に棲んでいましたので、1点差というのに固執する完璧主義者でした。89点と90点。99点と100点。その間に大勢の人が介在する予備校の受験模試の影響などもあったのかもしれません。

先日、フランスに医学留学している整形外科系のドクターから、興味深いお話しを伺いました。フランス人ドクターのオペ(手術)はとても素早くダイナミックで、かける時間は時に日本の半分くらいであると。

“なんと大胆なオペなのだろう。でも、いったいその縫合具合で術後は大丈夫なのだろうか?”

逆に日本のオペの様子を見学したフランス人ドクターが、驚嘆して言ったそうです。

“日本の医者はなんと細かいところまで徹底して処置するのだろう。でも、そこまでする意味があるのだろうか?”

日本人は指先が器用で、細かい手技をするのには大変適している代わりに時間がかかるそうです。

では、術後経過良し悪しの軍配はどちらに?
実はどちらも数字に変化がないのだそうです。ならばオペ時間が短い方が、患者も医師も負担がより少ないですよね。時短はいろんな意味でエコロジーでもあります。要は人間の身体の自然治癒能力はたいしたものだ、ということなのでしょう。

そんなわけで、“いいかげん”は実は“良い加減”。完璧主義より救われます。在仏15年。ここの文化生活習慣に触れて過ごすうちに、昔に比べてずいぶんと“いいかげん”になった自分がいます。異国で齢(よわい)を重ねる事で得た活きる術かもしれません。