Dr.MANAの南仏通信〜フランスのエスプリをご一緒に…〜
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南イタリア紀行 vol2(2008.10.21)


ソレントからの絵葉書的ショット。まさかこの山に登るとは・・・

某年、初夏。フランス人の南イタリア周遊ツアーに紛れて参加しました。フランス人は基本的に体力有り余っていてしかも健脚なのでしょう。朝一番から夜の遅くまでよく歩き、よくしゃべり、よく楽しむこと。普段は文句たらたらでもこと遊びに関しては強欲なのです。
紀元79年8月24日、ポンペイの街を一瞬のうちに死の灰の街と変えた、かの有名なヴェスヴィオ火山の大噴火勃発。周辺の空は3日3晩暗黒に染まったといいます。いまだに何十年の周期で噴火を起こしているにもかかわらず、1万人くらいが山腹に住んでいるというのも、驚きですね。
遠くに見る美しい雄姿はいまやナポリのシンボルでありますが、エトナと並ぶヨーロッパ有数の活火山であることには間違いありません。
その火山に自分達のツアーが登る予定であったのを知ったのは実に前日......(スケジュール表にきっと出ていたのでしょうが、見てなかったのですね)。もちろん心の準備どころか、登山の準備を何もしていなかったのでした。日本では、ヴェスヴィオ火山に登る企画なんて殆ど聞いた事がなかったし、情報もなかったんです。
1000メートルを軽く超える山ですが、バスで上れるだけ上り、そこより徒歩で小一時間程の登り、そして楽しい火山口観覧ということでした。周囲のフランス人は皆びっくりするくらいの防寒対策をしていたのですが、私はだいたい防寒コートなんて持ってきてませんもの、気持ち厚着をした程度でありました。登山靴もなく、運動靴で代用。
バスを降りた時点でちょっと身震い。すでにかなり風が強いのでした。それでも動けばきっと温かくなるさと、皆のするように杖を借りて登り始めてどのくらいたったでしょうか。慣れない登山で、へろへろになりながらやっと火口に到着です。


山頂よりナポリ湾を臨む。
ナポリを見ただけでは死ねない・・・
  火口付近までいくと、案内役は専属公認ガイドにバトンタッチ。周囲に座るところなどなく、立ったままで説明をきくのですが、この辺から天気が急速に変わり始めました。さすがに気が変わりやすい山の神! 雲が急速に青空を覆い始めてからがもういけません。一気に10度近く下がったのではないでしょうか! イタリア訛りのフランス語が遠くに聞こえる......得意満面、力のはいったなが〜〜い説明。ああ、気が遠くなりそうだわ。ここで私も力尽きるのかしら。おいしいナポリタン、もっと食べておけばよかった。
視界には100度ともいわれるもくもくとした煙りがみえているのですが、寒くて寒くて凍え死に直前。
周囲のフランス人が“おーー。火山で凍っている人間がいるぞ!”とおもしろがってはやしたてます。と、やさしそうなムッシューが寄ってきました。
そのオーバーかけてくれるのかな。 「一緒に火山口に飛び込んであげようか」  ( ゚ ρ ゚ )


ここは黄泉の世界?
  そういえば以前参加したエジプトナイルツアーに、前日深夜までベリーダンス鑑賞、翌朝は4時起床で“砂漠で日の出を拝む”という企画があった事を思い出しました。フランス人ツアーはあなどれません。